僕は君を連れてゆく
第72章 可愛いの秘密
「和くんもついてるよ」
「え?嘘」
と、唇に指を当てる。
すると、潤がテーブルを追い越して俺の隣にきた。
「ん?」
ペロリ
俺の唇を舐めた。
「こっちは甘いね」
あ…
俺、食べられちゃう。
そう思った。
「俺のも食べてよ」
ゆっくりと潤の顔に自分の顔を近づける。
舌をだして唇の端を舐めた。
「ンッ…」
甘い吐息が聞こえた。
「どんな味する?」
「わかんない…」
顔が熱くて、熱くて仕方ない。
背中から何か、沸き上がってくるような。
「和くん…」
「なに?」
ちょっとだけ潤が怖い。
目の前にいるのは可愛い顔した潤なのに
潤じゃないみたいな目をしてるから。
いつもより、少しだけ水分を多く含んだ瞳。
瞳のなかにいつもと違う潤がいる。
「キス、していい?」
「え?なんで?」
「ダメなの?」
こんな時にいつもの弟みたいな声で、顔で
お願いしてくる。
その顔と声に俺が弱いこと分かってやってるのか?
チュッと、唇が触れた。
「いいよ、って言ってないんだけど…」
「和くんの考えてることなんて分かるよ」
得意気にそう言ってまた唇を重ねようとしてくる。
「じゃぁ、今、俺が何考えてるか答えて」
「潤の唇柔らかいって。もっと触りたいって。もっと触ってほしいって」
そう言いながらゆっくり押し倒される。
「正解でしょ?」
「正解じゃな…」
最後まで言わせてもらうことは出来なかった。
だって、俺の唇を潤が…
キスって、ケーキより甘いんだ。