僕は君を連れてゆく
第72章 可愛いの秘密
「んっ、ぅう…」
歯列をなぞられ舌を絡められて息が苦しくなる。
「鼻で息するんだって…」
「鼻?」
「そうだよ、和くん…」
頭を撫でられ、頬に両手を添えられた。
「和くん、なんで泣くの?」
「…」
俺は首を横にふった。
絶対に泣かない、そう決めたのに。
キスをされたら苦しくて涙がでた。
そのキスがいつもと違うから、
潤が何を考えてるのかわからなくて、
涙が次から次へと溢れてくる。
「和くん…」
「…」
「俺のこと見て」
「俺を見ろよっ!!!!!」
低くて太い声だった。
思わず、ひぃっ、と悲鳴のような声が出た。
「俺は和くんの弟なんかじゃない。可愛くて優しい潤じゃない。和くんが俺をそうやって見てるって気がついて…そんな俺を和くんは好きなんだって分かって、和くんの望む俺でいようって思ってた…だけど、無理。和くん、俺、もう無理…」
眉間にシワを寄せながら吐き出すように言葉をつむぐ。
「キスしていい?」
その言葉は優しかった。
だから、頷いた。
キスされながらシャツのボタンを外される。
潤の熱い手のひらが脇腹に触れる。
「あ…」
「和くん、スベスベ…」
人差し指で胸の突起を撫でられる。
ムズムズするような、くすぐったいような、変な感じ。
「ちょ、やだ、くすぐったい」
「くすぐったいだけ?」
「…だけ、やだ…」
「そっか…これから気持ちよくなれるようにするから」
そう言って、撫でてたそこを舐めた。