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僕は君を連れてゆく

第72章 可愛いの秘密


ねぇ、潤。
潤はわかってない。
俺のこと、全然わかってない。


可愛くて、可愛くて仕方ないって思うのは
好きだから。

好きで、好きで仕方ないって思ってたから。

誰よりも潤を好きで愛でていたいから
可愛い、を何度も何度もぶつけたんだ。

潤の体がどんどん逞しくなっていくのを見てて
俺は嬉しかった。
潤がどうしたら、俺が可愛い潤を卒業するか、
考えてたんだろ?
体を鍛えて、男らしくなっていくのも
すべて俺のため。

俺はわかっていたよ。

なにも分からないんじゃない。
なにも分からないフリをしていた。

俺にカッコいいところを見せたいのに、
あざとく首を傾げて、上目遣いに俺を見つめる。

それの行動はどれも俺のためだったろ?



「和くん…好きだよ…」


両手を握り体を引き寄せられてキスをする。

「ここじゃ、恥ずかしいよ…」


そう呟くと潤の目尻にさらに深くしわがより
眉毛も下がる。


「やっぱり、和くんのが可愛い…」

逞しくなった腕の中で俺は目を閉じる。
まだ、早く打つ潤の胸の音。
とても心地よい音。


「キスは二人のときだけにして?」


「うん、そうだね。こんなに可愛い和くんを他の人に見せられないよ」


もっと、俺に可愛いって言って。
俺だけを見て。

「そんなに可愛い?」


同じように首を傾げて、大きく瞬きをする。


ゴクリと喉が鳴った潤。


「あぁ…マジで、勘弁してよっ」


俺に跨がり覆い被さってくるから首に腕を回して
引き寄せる。


弟みたいに思ってた。

いつも可愛くて可愛くて仕方なかった。

俺にしか見せない可愛いだけじゃない潤。

俺だけの潤。

「和くん、可愛いよ」


可愛いは正義。
可愛いは最強。


俺の可愛いの秘密。







end.


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