テキストサイズ

僕は君を連れてゆく

第1章 背中

《背中8》

そろそろ、起きなきゃ…何時だ?

ガラガラっとドアの開く音がした。

「まだ、寝てるんですか?」
小さい声でしゃべってるけど、俺には誰だかわかる。

せんせい。

「二宮君?どう?相葉先生が様子見に来たわよ?」
養護教諭の先生がカーテンの外で俺に声をかけた。

「相葉先生、私、職員室に行ってきてもいいかしら?これ、校長先生に見てもらわないとならなくて。」

え…せんせいと二人きりになるの?

「わかりました。」

そう言って養護教諭の先生は出ていってしまった。

「二宮?」
カーテンの外から相葉せんせいが呼んでる。

どうしょ…起きなきゃ…でも…
迷っていたらカーテンが開いた。
俺は寝てるフリをするために目を閉じたまま…

「まだ、寝てるのか?」

せんせい…

「無理するなよ…思わず抱えちゃっただろ…」

せんせい…

優しく俺を見てる。
目尻にシワを寄せて俺を見てる。
俺の好きなあの顔で俺を見てる。

「やっぱり…」

せんせいは目をまるくして俺を見てる。

「思わず…抱っこしてくれたの?」

寝てたからか、声が掠れてる。

せんせいは、目を細めて笑った。

起き上がろうとしたらせんせいが背中に手を添えて支えてくれて…

こんなに近くにせんせいがいる。

せんせいの匂いがする。

せんせい…すき…

せんせいに抱きついた。

「にのみや…」

せんせい…

「…すき。」

体を離してせんせいを見上げる。

「せんせいがすき。」

声が震える。

「知ってた…」

そう言って顎に指をかける。

せんせいの顔が近づいてくる。

俺はせんせいと保健室のベットの上でキスをした。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ