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僕は君を連れてゆく

第9章 怪盗♡サトコ


なんで、お前が泣くんだよ!とか
言いたいことがたくさんある。

でも、智くんが泣いている。

その涙は…綺麗だった。

俺が知らない姿があることが怖かった。

俺が知らない智くんがいることが悲しかった。

そういうことなんだ。

泣いてる姿を見て

「俺は…全部、知りたいんだ。嵐のこと。みんなのこと…」

「…」

「俺はつまんない奴だよ。励ましてくれようと
したんだろ?ごめんな…」

そうだよな…

こんなこと…

「翔ちゃんっていつもそうだよね…」

俺の腕のなかに収まっていた智くんが声をあげた。

スルリとそこから這い出して俺の隣に腰かけた。

「翔ちゃんはさ…いいんだよでも、そのままで…みんな、どんな翔ちゃんだって好きだよ。」

「みんな?」

「そうだよ。みんな。」

智くんは?

智くんは俺のことどう思ってる?

「翔ちゃん…翔ちゃんが好きです。出会ったときからずっと。」

カツラを取ったいつもの智くん戻った。

綺麗に施してもらったメイクは今までの行為と
汗、涙でほとんど取れてしまった。

「目、黒くならないんだね。」

「目?」

俺を好きだと言ってくれた。

「君は智くん?」

「そうだよ。嵐の大野智だよ。」

俺が写るその瞳からまた涙が溢れてきている。

「え?なんで泣くの?」

「だって…俺、2回も好きだって言ってるに…急に目が黒くならないとか、名前聞いたり…なんだよ…」

ポロポロと溢れる涙はやっぱり、綺麗だった。


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