僕は君を連れてゆく
第9章 怪盗♡サトコ
翔ちゃんってそうなんだ。
嵐のなかで一番、鈍感。
こんなにストレートに告白してるのに…
目が黒くならないってなんだよ…
聞かなかったことにしたいのかな?
「翔ちゃんって…本当はモテないでしょ?」
なんか、笑えてきた。
「え?なに?」
ビックリした顔してる。
でも、いつもの翔ちゃん。
俺の大好きな翔ちゃん。
今度は俺から翔ちゃんを抱き寄せた。
頭を撫でて…子供を寝かしつけるみたいに…
「翔ちゃん…大好きだよ。」
翔ちゃんの腕が俺の腰に回されてギューっと
抱き締められた。
「智くんの匂いだ…智くん…智…」
お腹の辺りを顔を押し当ててグリグリしてる。
可愛い…
やっぱり、好きだ…
「あんなことして怖がらせてごめんね…翔ちゃんのこと、独り占めしたくなっちゃったんだ…」
翔ちゃんは動かない。
「俺は翔ちゃんとあーゆーことしたいって意味で好きなんだ…よ?」
伝わるかな?
やっぱり、気持ち悪いかな?
起き上がった翔ちゃんは俺の大好きな顔をしていた。
そして、俺の涙と汗でぐしゃぐしゃな顔を着ていたシャツで拭ってくれた。
チラリと見えた腹筋。
「俺も智くんが好きだ。あんなことされて怖かったけど…あんなことされたから、この気持ちに確信が持てた。好きだよ。」
翔ちゃんの顔が近づいてくる…
俺は目を閉じた。
チュッと音をたてて、触れた唇。
「震えてる…」
翔ちゃんの親指が俺のを撫でる。
「嬉しい…」
「また、泣く…」
気持ちが伝わったこと、
翔ちゃんが優しいこと。
幸せだ…