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喫茶くろねこ

第12章 マリン&まろん

麦茶を飲みながら柿ピーをつまむ。

そんな、朝食らしからぬ朝食をとっていると、部屋で寝ていたハズのまろん達がやってきた。

隣の椅子に上がり、右の前足を膝の上にちょこんと載せてくる。まるで『お手』をしているようだ。

首元の毛がふわっふわのまろん。『お手』ポーズのまま、ちょっとだけ首をかしげて、真ん丸の瞳で見つめられたら…グラっとくるけど、猫に柿ピーはあげられない。

「ダメだよ、まろん」

…ピチャピチャピチャ。

僕がまろんに気を取られていると、後ろから何やら水音がした。

慌ててテーブルのほうに向きなおると、テーブルの上にあがったマリンが、コップに顔を突っ込んで麦茶を飲んでいた。

「うわっ、何やってんだ、お前!」

コップを取り上げた拍子に皿の上の柿ピーを何粒か床にこぼしてしまった。

それを見たまろんがすぐに椅子から飛び降り床へ。

「あぁっ、ダメだってば!」
「まろん!あなたのはこっち!」

…そこへ母さんがやってきた。手に何か持っている。

「それは?」
「無塩のローストピーナッツよ。柿ピーのは猫には塩分が高いからね」
「食わせて平気?」
「食べ過ぎは良くないけど、2,3粒なら大丈夫よ。さ、母さん今から寝るから。あんまりうるさくしないでね」
「まだ午前中なのに?!」
「夜勤明けなのよ」
「…夜勤…」

母さんって、たしかスーパーのパートだったよな?夜勤?

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