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喫茶くろねこ

第12章 マリン&まろん

「えぇっ…」

(ま。あんまり肩肘張らずに気楽にやれ。コーヒーと紅茶さえ美味しく淹れられるようになってくれたら、あとはこっちで何とかする。それより、マリンの様子はどうだ?お前んちの実家の猫とはうまくやってるか?)

「えっと。打ち解けまくってて、何て言うかな、まるで姉妹のようですよ」

(そうか、まぁ、あいつは前の飼い主に捨てられて軽い人間不振には陥ったけど、別に猫は苦手じゃないしな)

「あの~。わざわざマリンの様子を聞く為だけに電話を?」

(大事なことだぞ。と言うかな、あれだ。マリンがそっちの実家の猫とうまくやってくれているなら、そのまま実家で引き取ってもらえないかと思って電話したんだ)

「えぇっ?!」

(お前にはもっとフリーな状態で、より多くの猫のお世話と一時保護、及び里親探し仲介斡旋を頑張ってもらいたいのだ。マリンはもうお前の猫だが、大学卒業までは実家で面倒見てもらえるとな…お前がフリーで動けるだろう。お前には、あまり喫茶店のキッチン業務のほうは期待していない)

「えー…(それはそれで、寂しいような)」

(お前は、猫の為に動け。実はな、美佳ちゃんが秋に結婚するんだ)

「えーと…美佳ちゃん?って誰でしたっけ?」

(派遣OLと掛け持ちで仕事してる中井の美佳ちゃんだ)

「あぁ!なんだぁ。中井さん、って言ってくれないとピンと来ないですよぉ。美佳ちゃん、って感じじゃないでしょ?」

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