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喫茶くろねこ

第12章 マリン&まろん

(それは、美佳ちゃんが、ちゃん付けで呼ぶような年齢じゃないって意味かな?女性は年齢気にするから、あまり本人には言うなよ?ま、お前さんよりは年上だしな。そんな感じに見えるかもしれんが…私にとっては、美佳ちゃんなんだよ。先代のマスターがそう呼んでいたしな)

「中井さんって、先代のマスターと面識あるんですね」

(ある。ま、それはいい。とにかく、結婚するから、喫茶くろねこを辞めちゃうかもしれないんだ。もし辞めないにしても今よりは出てこれなくなるだろうから、猫のお世話担当がな、メインがお前さんになるんだ)

「…はぁ…」

(…気の抜けたような返事をするな。とにかく、キッチンのほうはいいから猫をしっかり見るんだ。で、動きやすくするためには身軽なほうがいいからな。マリンは出来ればお前の実家で飼ってもらいたい。親に相談しとけ。ま、あのお母さんなら大丈夫そうだが。猫好きそうだったし)

「わ、かりました。じゃあ、料理の練習はしなくていいんですね?」

(してもいいぞ。人間、出来ることは増やしておくに限る)

「まぁ、賄い飯の担当ぐらいは今まで通りしますけど。あんまりお客に出すようなメニューが僕に作れるとは思いません」

(うむ。まぁ、そうだろな)

…自分から「出来ない」とは言ったものの、それに賛同されるとなんかイラッとくるのは何故なんだろう。

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