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「よ、よよよ、よろしく…。てか、テレパシーとかじゃなくて普通に喋るんだね」
「テレパシーで喋る猫にゃんて…マスターぐらいニャ」
「普通に喋る猫も相当スゴイと思うけど」
「心は読めにゃいニャ」
「う、うん。読まなくていいよ、それは…」

『虎太郎くんには主に猫部屋で猫達の管理を担当してもらう。人の言葉を喋る猫が店内にいたら一般の客が驚くからな』
「マスターも喋るけどいつも店内にいますよね？」
『私の喋りは、客には聞こえてないからいいのだよ』
「で、レオンくんは何するんですか？」
『彼は接客担当だ。喫茶くろねこの店名にふさわしい見事な黒猫で、しかも愛想もいい。ぴったりだよ』
「…キジトラで悪かったニャ」
「ぼ、僕は好きだよ。キジトラ！」
「にゃぐさめは、いらにゃぁニャ…」

『虎太郎、そう拗ねるな。店名の“くろねこ”は、私が黒猫だから、それでいいのだ。白猫も三毛猫もキジトラも、いろんな猫がいていいのだよ。ただ、まぁ、もう一人ぐらい常駐の黒猫がいてもいいかな、と思っただけのことだよ』

虎太郎は返事をせずに、顔を洗い始めた。と、

「にゃぉ～ん」

それまで静かだったレオンが、存在をアピールするようにひと鳴き。
なかなか野性味溢れる野太い声だった。