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喫茶くろねこ

第13章 くろねこ新入りバイト

「レオンくん。佑太です、よろしくね」
「にゃぁ」

まるで返事をしたみたいだった。もしかして、喋れないだけでこちらの言うことは理解している?

「レオンも、“よろしく”って言ってるわ。あなたのこと、気に入ったみたいね」
「中井さんって、猫の言葉がわかるんですか?」
「猫だけじゃなくて、鳥の言葉もわかるわよ?」
「…い、犬は?」
「犬の言葉はわかんないわね。仕草なんかで感情はなんとなく読めるけど。喜んでるとか、怒ってるとか、その程度かな」

「鳥の言葉なら俺でもわかるぞ。3軒先のクリーニング屋で飼われてる九官鳥んとこ行ってみろよ。よく喋るから」
「それは、佐々木さんが鳥の言葉をわかってるんじゃなくて、鳥が人の言葉をしゃべってるだけなのでは?」
「はっはっは。全くもって、その通りだ」
「なんでそんなに偉そうなんですか」
「偉いからだ」

…佐々木さんのこの自信は一体どこから来るんだろう。

「あ、ごめん。下地君。私も、鳥の言葉がわかるわけじゃなくて、人の言葉を喋れる鳥とおしゃべりするだけよ」
「中井さんまで…」
「猫の言葉は、わかるけどね?」

「にゃぁぁ~」
「…い、今のは、なんて?」
「…話が長いって。そろそろご飯食べたいみたいよ」

「あ、ボクもにゃ。行ってくるニャ」
「虎太郎、どこ行くんだ?」
「猫部屋にゃ。メシにするにゃ」
『猫トイレの掃除は無理だが、猫のご飯の準備はこれからは虎太郎がやってくれる』

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