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喫茶くろねこ

第14章 キジトラ:虎太郎

『まぁ、美佳ちゃんが箒で空を飛ぶかどうかは置いておいて…』

置いておくんですか!?

『猫の言葉が分かる力を持っているのは、確かだ』

…空、飛べるんですかね?

『それは、後で本人に確認しろ』

と、マスターと僕が脳内会話をしていると、しびれを切らしたらしい虎太郎がずいっと視界に割り込んできた。視界に飛び込むキジトラの背中。しなやかなカーブに目を奪われる。

『あぁ、虎太郎には俺たちのテレパシーでの会話は聞こえてないからな、待ってる間ヒマだったんだろう』

え、猫同士なのに、マスターのテレパシーわかんないんすか?

『お前、他の人が頭の中で考えてること読み取れるか?』

いや、無理っす。

『人間同士なのに、テレパシー使えないのか?』

あ、そうか。虎太郎がテレパシー読めないのもそれと一緒…

『そういうことだ』
「にゃぁ~。にゃにゃにゃにゃ」

猫語(?)は分からないが、恐らくさっきのマスターと僕のやり取りを虎太郎に説明でもしているんだろう。まー、大したこと喋ってないけど。中井さん魔女説ぐらいか。

マスターと話が終わった虎太郎が、足元にスリスリとしてくる。

…よろ…しく……

「テレパシー、難しかったら普通に喋ってくれてもいいぞ」

…あ、あ…あり…あり、がとぅ…

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