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喫茶くろねこ

第14章 キジトラ:虎太郎

『虎太郎も人の言葉を喋れるとはいえ、元々は普通の猫だ。長くしゃべらないでいると、発音が下手になってきたりもする。だから時々、話し相手になってほしいそうだ』

「…ぼ、僕で良ければ」
「たにょむにゃ…アイボー」
「いつから相棒になったんだ、いつから」
「今にゃ」

まぁ、いっか。キジトラもけっこう好きだし。

「なぁ~~ん」
足元で頭をスリスリとしてくる虎太郎。めちゃ可愛い。

『じゃ、私は帰るよ』

あ、おやすみなさい、マスター。

「あ、そうだ。虎太郎。せっかく喋れる猫なんだからさ、あのセリフ喋ってよ!」
「…あのセリフ?」
「ほら、あれだよ、あれ!あるじゃないか!有名なヤツが」
「何にゃ?わからんにゃ?」
「明治の文豪が書いた小説の中に有名な一節があるじゃないか!吾輩は~、ってやつ!!」

『吾輩は猫である。名前はまだ無い』

うわっ、マスター?!帰ったんじゃなかったんですか??

『虎太郎は喋れるとは言っても、普通の猫だぞ。夏目先生の小説なんて読んでるわけないだろう』

…マスターも、猫ですよね?

『うむ、私だって読んだわけではない。ただ、冒頭部分は有名だからな。ただ、この部分までしか知らんよ。続きは知らぬ』




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