喫茶くろねこ
第14章 キジトラ:虎太郎
「マスターでも、そんなふうに感じることがあるんですね」
『私をなんだと思っとるんだ。ただの猫だぞ』
「テレパシーで人の言葉が喋れて占いまで出来る猫が、ただの猫なわけないじゃないですか」
『ちょっと喋れるだけの、ただの猫だ』
ただの猫だと言い張るか…。
「マスター、悩みってあります?」
『みんなから名前で呼んでもらえない事かな?』
「マスターの名前って、“マスター”じゃ、ないんですか?」
『そんなわけないだろう』
「なぉ~~ん」
「あぁ、ごめん、虎太郎。退屈だったね」
「にゃ」
虎太郎は僕の膝の上に上がると鼻先を前足で隠すようにして丸くなり、目を瞑った。
…眉間にちょっとしわが寄っている…ように見えなくもない。
「虎太郎~?置いてけぼりにしてマスターと喋ってたの、怒ってる?」
…返事は無い。
『たぶん、大丈夫だ。仲良くやりな。今度こそ、私は帰るよ』
マスターは、それだけ言うと、猫用の出入り口から出て行った。
虎太郎は、基本キジトラ柄だが、鼻先と胸のあたりの毛だけが白い。そして胸の白い部分の毛だけ他よりもちょっと長めで、ふわふわで、気持ちいい。
気持ちいいのだが…うん、ヤバい。トイレに行きたくなってきた。頼む、虎太郎、ちょっと…ちょっと降りてくれ~~~。
『私をなんだと思っとるんだ。ただの猫だぞ』
「テレパシーで人の言葉が喋れて占いまで出来る猫が、ただの猫なわけないじゃないですか」
『ちょっと喋れるだけの、ただの猫だ』
ただの猫だと言い張るか…。
「マスター、悩みってあります?」
『みんなから名前で呼んでもらえない事かな?』
「マスターの名前って、“マスター”じゃ、ないんですか?」
『そんなわけないだろう』
「なぉ~~ん」
「あぁ、ごめん、虎太郎。退屈だったね」
「にゃ」
虎太郎は僕の膝の上に上がると鼻先を前足で隠すようにして丸くなり、目を瞑った。
…眉間にちょっとしわが寄っている…ように見えなくもない。
「虎太郎~?置いてけぼりにしてマスターと喋ってたの、怒ってる?」
…返事は無い。
『たぶん、大丈夫だ。仲良くやりな。今度こそ、私は帰るよ』
マスターは、それだけ言うと、猫用の出入り口から出て行った。
虎太郎は、基本キジトラ柄だが、鼻先と胸のあたりの毛だけが白い。そして胸の白い部分の毛だけ他よりもちょっと長めで、ふわふわで、気持ちいい。
気持ちいいのだが…うん、ヤバい。トイレに行きたくなってきた。頼む、虎太郎、ちょっと…ちょっと降りてくれ~~~。