喫茶くろねこ
第16章 「らしさ」って何だろう?
閉店後、店内の掃除と後片付けをしながら佐々木さんに聞いてみた。
「らしさ、の正体ってなんでしょうかね?」
「らしさ?なんの話だ」
「いや、あの、日本人ってよく『型』にはめたがるじゃないですか。男らしさ、とか、女らしさ、とか」
「らしさ、か、そんなものは幻想だと俺は思うぞ。ただ、分類・分析出来ないもの、得体のしれないものってどう対処していいか分からないし、人が不安になるからな。安心する為に無理やりでも型にはめ込もうとしてるんじゃないかと思う」
「そんなもんなんすかね」
「ま、今、聞かれたからそれっぽく答えてみただけだ。あんまり考えたことなかったなぁ。うーん、そうだな。らしさ、なんてものは基本的には無いんだと思うぞ。無い、というか、変化し続けてるものなんじゃないかな」
「変化、ですか?」
「決まった1つの『らしさ』にとらわれるんじゃなくてさ、もっと柔軟に考えるんだよ」
佐々木さんの面白い話が聞けそうだ、と思ったので、僕は、口を挟まずに佐々木さんの次の言葉を待つことにした。
「純粋で無邪気なもの子供らしさなら、背伸びして大人っぽく見せようとするのもまた子供らしさだよ。大人はそのままで大人だから、わざわざ大人っぽく見せようとして背伸びする必要なんかないだろ。でも子供は大人じゃないからこそ“背伸びして大人っぽく”振る舞ってみる時がある。それをさ、子どもらしくない、って言っちゃダメなんだよ。無邪気な姿も子供らしさなら、背伸びする姿も子供らしさなんだ」
「らしさ、の正体ってなんでしょうかね?」
「らしさ?なんの話だ」
「いや、あの、日本人ってよく『型』にはめたがるじゃないですか。男らしさ、とか、女らしさ、とか」
「らしさ、か、そんなものは幻想だと俺は思うぞ。ただ、分類・分析出来ないもの、得体のしれないものってどう対処していいか分からないし、人が不安になるからな。安心する為に無理やりでも型にはめ込もうとしてるんじゃないかと思う」
「そんなもんなんすかね」
「ま、今、聞かれたからそれっぽく答えてみただけだ。あんまり考えたことなかったなぁ。うーん、そうだな。らしさ、なんてものは基本的には無いんだと思うぞ。無い、というか、変化し続けてるものなんじゃないかな」
「変化、ですか?」
「決まった1つの『らしさ』にとらわれるんじゃなくてさ、もっと柔軟に考えるんだよ」
佐々木さんの面白い話が聞けそうだ、と思ったので、僕は、口を挟まずに佐々木さんの次の言葉を待つことにした。
「純粋で無邪気なもの子供らしさなら、背伸びして大人っぽく見せようとするのもまた子供らしさだよ。大人はそのままで大人だから、わざわざ大人っぽく見せようとして背伸びする必要なんかないだろ。でも子供は大人じゃないからこそ“背伸びして大人っぽく”振る舞ってみる時がある。それをさ、子どもらしくない、って言っちゃダメなんだよ。無邪気な姿も子供らしさなら、背伸びする姿も子供らしさなんだ」