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喫茶くろねこ

第17章 中井さん、どうする?

「下地君、ごめんね?軽蔑した?男と別れてすぐに他の男に色目使うなんて、軽い女だと思った?」

「そんなことないです。ココ誘ったの、僕ですし。それに、それだけショックでかかったってことっすよね、こんなことしちゃうぐらい」

「でも私、誰にでもこんな風にするわけじゃないから。下地君だから」

「え…」

「信じてないでしょ?ホントよ?下地君のこと、それなりに評価してるんだから。でも、こんなことになるとは思ってなかった」

「僕も…思ってなかったです」

「だってね。私よりだいぶ年下だし、しかもまだ学生だし、弟みたいなもんだと思ってたの。
ただ、喫茶くろねこでの仕事ぶりはいいと思ってた。とくに猫と直接かかわる部分は任せられるかなって。あとは…そうね、保護ネコの里親斡旋の場面での里親候補の人たちへの対応がもうちょっと訓練が必要かな、かな?見る目を養わないと、変な人もたまに混じるからね」

「こんなところで仕事の話ですか?」

「だって、私たちの最初の接点はそこだし、唯一の共通の話題じゃない。それにね、結婚は破談になったけど、派遣の契約も終了しちゃったし、私、一度地元に帰ることにしたの。だから、くろねこにももう行けなくなるから…」





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