喫茶くろねこ
第5章 下地家
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「佑太~!佑太~!!」
階下から叫ぶ母親の声で目が覚める。昨日は、どうやら着替えもせずに服のまま眠ってしまったらしい。一着しかないスーツがヨレヨレになってしまった。
トボトボと下へ降りる。リビングへ顔を出すと、母親がマロンを抱いて立っていた。
「あらやだ。シワっシワのヨレヨレじゃない。服のままで寝たの?」
「あー…うん」
「それ、大学の入学式用に買ったのに、なんで昨日着ちゃったの」
「部屋探しで不動産屋とか回るのにさ、ラフすぎる恰好だとバカにされそうな気がして…」
「そんなことないわよ~。だって大学が近くにあんのよ?そりゃそりゃ、大学入学を機に一人暮らしを始める若い子たちが家賃の安い部屋求めていっぱい訪ねてくるんだから、向こうはそういうの慣れてるわよ」
「あ…」
「それと、見慣れないスニーカーが玄関にあって、スーツを買ったときに一緒に買った革靴が見当たらないんだけど、どうしたの?」
!? あっ…靴!
えーと…たしか、履き慣れない靴で歩き回ったせいで足が痛くなってきて、急遽スニーカーを買って店でそのまま履き替えて、で履いてたほうの革靴を紙袋に入れてもらって…それから…それから―――、え?それからどうしたんだっけ??
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「佑太~!佑太~!!」
階下から叫ぶ母親の声で目が覚める。昨日は、どうやら着替えもせずに服のまま眠ってしまったらしい。一着しかないスーツがヨレヨレになってしまった。
トボトボと下へ降りる。リビングへ顔を出すと、母親がマロンを抱いて立っていた。
「あらやだ。シワっシワのヨレヨレじゃない。服のままで寝たの?」
「あー…うん」
「それ、大学の入学式用に買ったのに、なんで昨日着ちゃったの」
「部屋探しで不動産屋とか回るのにさ、ラフすぎる恰好だとバカにされそうな気がして…」
「そんなことないわよ~。だって大学が近くにあんのよ?そりゃそりゃ、大学入学を機に一人暮らしを始める若い子たちが家賃の安い部屋求めていっぱい訪ねてくるんだから、向こうはそういうの慣れてるわよ」
「あ…」
「それと、見慣れないスニーカーが玄関にあって、スーツを買ったときに一緒に買った革靴が見当たらないんだけど、どうしたの?」
!? あっ…靴!
えーと…たしか、履き慣れない靴で歩き回ったせいで足が痛くなってきて、急遽スニーカーを買って店でそのまま履き替えて、で履いてたほうの革靴を紙袋に入れてもらって…それから…それから―――、え?それからどうしたんだっけ??