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喫茶くろねこ

第6章 春 ~母と猫と入学式~

「えぇー!佑太ずるーい!!私も黒猫ちゃんとはなしたーい!」

マスターが『大丈夫だ』と言ったから、母にマスターがテレパシーを使って人語を喋れるのだ、と話したら、疑いこそしなかったものの、さっきから「佑太だけずるい」「私も話したい」と、ギャーギャーうるさい。

『ご母堂…意外とミーハーか…』

マスターが大丈夫って言ったんじゃないですか~。

『話を信用するか、それとも疑うか、で考えれば、大丈夫は大丈夫だっただろう』

まぁ~、大丈夫っちゃ大丈夫だけど~~。

「いいなー、しゃべる猫ちゃん。やっぱり賢そうな顔つきしてるもんねー。人の言葉がわかるんだねー」

「えっと…着きましたよ、ホームセンター」

そうこうしているうちに、佐々木さんの運転するミニバンがホームセンターの駐車場に着いた。

「あっ…。ありがとうございます。さ、佑太、行くわよ」

さっきまで駄々こねる子どもみたいにギャーギャー騒いでいた母だが、びっくりするほど切り替えが早い。

佐々木さんも佐々木さんで買いたいものがあるとのことで、マスターは一人(一匹?)店の前で待機することになった。

入り口脇の自販機の上に飛び乗り、高い所で丸くなる。

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