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喫茶くろねこ

第6章 春 ~母と猫と入学式~

全ての買い物を終えて店に戻り、買ってきた荷物を部屋に運び込み、大量のキャットフードは猫部屋の専用の棚へ並べる。
そして部屋の掃除や片付けをしているうち、気が付けば夕方になっていた。

『佑太!母親と一緒に店に降りて来い!』

マスターに呼びかけられて下に降りると、全員集合していた。先代オーナーの娘であり表向きのマスター?いや、オーナー?でもある山路さん、外国人留学生のニコルス、今日の買い物で車を出してくれた佐々木さん、そして、佑太にとってはこれが初対面となる派遣OLと掛け持ちでのアルバイトの中井さん。

『今日はお前の歓迎会だからな。集合をかけておいた』


***

「「「かんぱ~~い!」」」

「なんで僕だけお茶なんですか…」

僕以外の全員がスパークリングの清酒で乾杯をするなか、なぜか僕のグラスには冷たいジャスミンティーが入っていた。

「はっはは!しかたねぇさ、お前まだ未成年だろ?」
「だからってお茶じゃなくてもいいじゃないですか!ジュースとか!炭酸とか!」
「まぁまぁまぁ、文句言わないの!あと半年の我慢じゃない!」
「あと半年って…なんで中井さん、僕の歳知ってるんすか」
「あら。今ここにいるメンバー、全員知ってるわよ?」
「う~~~」

なんだか、全員にからかわれている気がする…前途多難なバイト生活になりそうだ。


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