喫茶くろねこ
第9章 夏 ~恋の季節と、占いと~
僕を追い抜いていった車は、50メートルほど先の校舎の玄関前で止まった。
なんとなく気になって観察していると、助手席側から、僕の心の天使、安岡千夏ちゃんが降りてきた。
ちっ…千夏ちゃん!
誰の運転する車で来たんだろ。親?それとも友達?まさか彼氏?!
そわそわし過ぎて挙動不審な感じでうろうろしてると、後ろから突然肩を叩かれた。
「よっ、下地!」
振り返ると、見覚えのある顔。多分、同じクラスなんだけど、野郎の名前はあんまり覚えてないからなぁ…誰だっけ、こいつ。
「おっ…ぉお!おはよ」
「今、安岡さんに見とれてたろ?」
「えっ…」
「手強いぞ、彼女は。鈴山学院大学に彼氏がいる」
「…なんで知ってんだよ」
「コクったらフラれた。彼氏がいるからごめんなさいって」
「自分からコクるとかすげぇな、お前!」
僕の中で、今この瞬間、単なる名無し野郎が勇者に格上げされた。
「勇者だな、お前…」
「あ?ユーシャじゃねえよ、ユウジだよ。加藤ユウジ」
…少々、天然かもしれない。
「はぁ…失恋かぁ…」
「あ?フラれるまで失恋じゃねえよ。もしかしたら、彼氏と別れるかもしんねぇし、失恋かどうかなんて、コクってみなくちゃわかんねぇだろ!」
「彼氏がいるって最初からわかってる相手にコクる勇気なんてないよ」
「女々しい野郎だな。コクれよ、略奪愛だ!」
「彼氏、すんげぇ強かったらどうすんだよ!フルボッコにされるぜ、勘弁だよ」
「お前の想いはその程度のもんなのかよ。好きなら当たってくだけろや」
「…その程度のもんだよ…。てか、お前こそ、ストーカーの気質があるんじゃねえの?」
「あ?俺は本人からハッキリフラれたらそれ以上はつきまとわねぇよ。ストーカーなんて一番女々しいぜ」
なんとなく気になって観察していると、助手席側から、僕の心の天使、安岡千夏ちゃんが降りてきた。
ちっ…千夏ちゃん!
誰の運転する車で来たんだろ。親?それとも友達?まさか彼氏?!
そわそわし過ぎて挙動不審な感じでうろうろしてると、後ろから突然肩を叩かれた。
「よっ、下地!」
振り返ると、見覚えのある顔。多分、同じクラスなんだけど、野郎の名前はあんまり覚えてないからなぁ…誰だっけ、こいつ。
「おっ…ぉお!おはよ」
「今、安岡さんに見とれてたろ?」
「えっ…」
「手強いぞ、彼女は。鈴山学院大学に彼氏がいる」
「…なんで知ってんだよ」
「コクったらフラれた。彼氏がいるからごめんなさいって」
「自分からコクるとかすげぇな、お前!」
僕の中で、今この瞬間、単なる名無し野郎が勇者に格上げされた。
「勇者だな、お前…」
「あ?ユーシャじゃねえよ、ユウジだよ。加藤ユウジ」
…少々、天然かもしれない。
「はぁ…失恋かぁ…」
「あ?フラれるまで失恋じゃねえよ。もしかしたら、彼氏と別れるかもしんねぇし、失恋かどうかなんて、コクってみなくちゃわかんねぇだろ!」
「彼氏がいるって最初からわかってる相手にコクる勇気なんてないよ」
「女々しい野郎だな。コクれよ、略奪愛だ!」
「彼氏、すんげぇ強かったらどうすんだよ!フルボッコにされるぜ、勘弁だよ」
「お前の想いはその程度のもんなのかよ。好きなら当たってくだけろや」
「…その程度のもんだよ…。てか、お前こそ、ストーカーの気質があるんじゃねえの?」
「あ?俺は本人からハッキリフラれたらそれ以上はつきまとわねぇよ。ストーカーなんて一番女々しいぜ」