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喫茶くろねこ

第9章 夏 ~恋の季節と、占いと~

「ま、略奪愛ってのは、冗談だ」
「冗談なのかよ…」
「半分冗談で、半分本気だ」
「なんだそれ」
「つまりだな…」

勇者ユウジは持論を展開し始めた。

ざっくりまとめると、現在付き合っている彼氏と、新たに告白してきた男と、どちらを選ぶのかは女の子に選択権があるけれど、告白するのか、何もせずに諦めるのかは告白する側に選択権があり、選択権がある以上は、少しでも可能性が広がるほうを選ぶのが男の生き方だ、ということだった。
ただし、振られた時にはきっぱりと諦め、引き際を間違えるな、引き際を間違えてストーカー化するなんてのは最も女々しい行為で、男の風上にもおけない、とかなんとか。

なんか、同い年・・・じゃねぇか、俺、浪人してるから、同学年だけど1コ下か?!年下なのに、いろいろ考えてんなぁ。

「お前、若いのにしっかりしてるな…」
「あぁ、伊達に3浪してねーよ」
「3浪?!」

…年上だった。しかも2コ上じゃねぇか。

「年上かよ」
「お前も浪人組だろ?何浪だ?」
「…1浪…」
「1浪なら、まだまだ若いじゃねえか。頑張れ」
「あの、聞いてもいいっすか?言っちゃなんだけど、ここ、そこまでレベル高い大学でもないのに、なんで3浪もしたんすか?」
「ま、実質、勉強で浪人してたのは最後の1年だけだよ。高卒後、一度は社会に出て働いてたんだけどな。やっぱり諦めきれなくて、2年で会社辞めて勉強しなおしたんだよ」

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