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喫茶くろねこ

第9章 夏 ~恋の季節と、占いと~

そういうとユウジはニッと笑った。

「あ、あと、年は違うけどクラス一緒なんだから敬語は不要な!てかやべぇ、そろそろ行かねぇと授業始まるぜ」

言い終わらないうちにダッシュで駆け出したユウジの後ろを慌てて追いかける。

授業が終わったら、ダメ元で千夏ちゃんに告白してみよう、そんなことを考えながら教室に入ると、既に席に着いていたユウジに隣に来いと手招きされた。

…アイツ、俺よりじじぃのくせに足速いな。陸上部かよ。

「お前こっちな」

ユウジの席の通路側の隣に座ろうとすると、わざわざ立って席を開けてまで反対隣に案内された。

「なんで」
「今、ちょうど席はずしてるけどその隣が千夏ちゃんだから」
「え…」
「すきを見てサッとメモ渡すんだぞ」
「なんのメモだよ?」
「そりゃお前、ラインのIDとかさ、あんだろいろいろ…」
「ラインやってねぇよ」
「お前、化石かよ。じゃ、携帯の番号でもメアドでもなんでもいいよ。とにかく連絡先の交換をしろ。授業のこととか情報交換したいって言えばいいだろ」
「そんなもん、いきなり渡すと怪しいだろ」

ユウジとごちゃごちゃやってるうちに千夏ちゃんが席に戻ってきた。
ヤバい!緊張する!!

結局、僕はメモを渡すどころか千夏ちゃんのいるほうを見ることすら出来なかった。ヘタレだと言われようとなんと言われようと、これが僕なんだ……。
告白なんて、絶対にムリ。

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