喫茶くろねこ
第9章 夏 ~恋の季節と、占いと~
「……はぁあ~~~」
その日の夜。閉店後の喫茶くろねこのカウンター席で、嫌がるマスターを無理やり枕にして突っ伏していた僕は、今日何度めかわからない深い深いため息をついた。
『重い、頭を下ろせ』
「いいじゃないっすか~。今日はモフモフしたい気分なんですよ~」
『お前、クビにするぞ…』
「マスタぁー…」
『爪でひっかかれたいのか?』
「すみません…」
僕はマスターのお腹から顔をあげた。抜けたマスターの毛が顔についてわしゃわしゃする。
『今、換毛期だからな。ブラッシング頼まれてくれるか?上へあがろう』
マスターがカウンターから華麗に飛び下り、キッチン奥の内階段から猫エリアに上がるので、慌てて後ろをついて上がる。
マスター専用のブラッシングブラシを持ってスタンバイすると、マスターが背中を向けてすわる。まずは背中から丁寧にブラッシングをしていく。顎の下、尻尾の付け根、腹、前足、後ろ足。少しずつ丁寧に、全身をブラッシングしていく。抜けた毛を集め、ブラシに残った毛とまとめて捨てる。仕上げは、ハンディ掃除機でゆっくりとマスターの全身を撫でていく。
『お前、猫の抱き方とか扱い方全般下手なのになぜかブラッシングだけは上手いよな…』
だけって…。
「ゴロゴロゴロロロ…」
…マスター、今、もしかして喉鳴らしました?
『あ、うん、気持ちよくて…ついな…』
その日の夜。閉店後の喫茶くろねこのカウンター席で、嫌がるマスターを無理やり枕にして突っ伏していた僕は、今日何度めかわからない深い深いため息をついた。
『重い、頭を下ろせ』
「いいじゃないっすか~。今日はモフモフしたい気分なんですよ~」
『お前、クビにするぞ…』
「マスタぁー…」
『爪でひっかかれたいのか?』
「すみません…」
僕はマスターのお腹から顔をあげた。抜けたマスターの毛が顔についてわしゃわしゃする。
『今、換毛期だからな。ブラッシング頼まれてくれるか?上へあがろう』
マスターがカウンターから華麗に飛び下り、キッチン奥の内階段から猫エリアに上がるので、慌てて後ろをついて上がる。
マスター専用のブラッシングブラシを持ってスタンバイすると、マスターが背中を向けてすわる。まずは背中から丁寧にブラッシングをしていく。顎の下、尻尾の付け根、腹、前足、後ろ足。少しずつ丁寧に、全身をブラッシングしていく。抜けた毛を集め、ブラシに残った毛とまとめて捨てる。仕上げは、ハンディ掃除機でゆっくりとマスターの全身を撫でていく。
『お前、猫の抱き方とか扱い方全般下手なのになぜかブラッシングだけは上手いよな…』
だけって…。
「ゴロゴロゴロロロ…」
…マスター、今、もしかして喉鳴らしました?
『あ、うん、気持ちよくて…ついな…』