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喫茶くろねこ

第9章 夏 ~恋の季節と、占いと~

追い出されるようにして店を出る。

…大学行く前に猫部屋の様子だけ覗いていくか。

外階段から猫部屋へ回る。と、中井さんとすれ違った。

「おはよう。朝の掃除なら済んだわよ?」
「おはようございます。今から仕事ですか?」
「ええ。行ってきます」

中井さんと入れ違いで猫部屋を覗く。数匹の猫たちが思い思いの場所でくつろいでいる。綺麗になった猫トイレでさっそく用を足しているやつもいた。

マリンを探す。
いた!キャットタワーの一番上から窓の外を眺めていた。

「じゃあ、大学行ってくるよ、マリン」

マリンに声をかけてから猫部屋をでる。

今日は午前2コマ、昼を挟んで午後1コマの3コマ。今、僕の中でのイチオシ科目は心理学だ。授業の最初にほぼ毎回あるミニ心理テストやグループディスカッションなどのワークが興味深い。そして、今日も夕方からはくろねこでバイトだ。

…その日、僕の頭の中では、7割ぐらいマリンのことが占めていた。以前のように、千夏ちゃんのことを考えなくなっていた自分がいた。変に意識しなくなると普通に対応できる。今までは話しかけることすら出来なかったのに、携帯番号とメアドの交換に成功しただけでなく、夕方、一緒に喫茶くろねこに行く約束まで取り付けた。

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