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喫茶くろねこ

第9章 夏 ~恋の季節と、占いと~

「きゃあっ、可愛い~」

んっ?

「店名は“くろねこ”だけど、黒猫だけじゃなくていろんな猫ちゃんがいるのね」

楽しそうなトーンの声。千夏ちゃんの視線の先を見ると、マスターとマリンと、山路さんとこの飼い猫のトムとミーの4匹がいた。(ちなみにトムが白黒ブチのオスで、ミーが茶トラのメスだ)

おおぉっ、レギュラー猫達が揃い踏み?どしたんだ、今日。やけに豪華じゃないか。猫の日か?22日は猫の日なのか?

「お待たせしました~」

ニコルスがコーヒーとケーキを運んできてくれた。

「ちっ、千夏ちゃん!食べよう」
「は?!千夏ちゃん?馴れ馴れしく下の名前で呼ばないでくれる?私の名前は安岡よ、や・す・お・か!」
「ご、ごめん。安岡さん…」
「わかってくれてうれしいわ、し・も・じ、君」

猫に対する時と僕に対する時で随分と態度が違う。あれか、これが世に言う【ツンデレ】ってやつか。

『佑太、それ、たぶん違うぞ。ツンデレは同じ相手に「ツン」で「デレ」なのだ』

んん~~~。ですよね~~~。

「わ、ケーキ美味しい~」

……安岡さんの機嫌が直ったようで何より。

美味しそうに食べる安岡さんを見て少しホッとしていると、マリンが僕の膝へやってきた。

「なぁ~ん♪」
「マリン!」
「その猫、マリンって言うんだ?綺麗な毛並み~。ね、ね、撫でてもいい?」



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