喫茶くろねこ
第10章 佐々木邸訪問
そして、佐々木邸訪問日。
僕が大学から戻ると、既に店の前でマスターと一緒に佐々木さんを待っていた。
「遅い!マスターがかなりご立腹だぞ!」
「すっ、すみませんっ!講義が長引きましてっ…って、マスター?」
マスターは捕まえたのであろうバッタをいじって遊んでいた。あまりご立腹な様子には見えない。
「マスター、何やってるんですかぁ。」
佐々木さん呆れた顔でマスターを呼ぶ。
『あっ、すまん。つい…』
もぐもぐもぐもぐ…
バッタを食べながらマスターがこちらを見つめる。
…なんまんだぶなんまんだぶ。
一寸の虫にも五分の魂。僕は、そっと手を合わせ、喰われたバッタの冥福を祈っておいた。
『お前だって、さんざん、牛とか豚とか食べてるくせに、なんで私がバッタ食べたぐらいのことで、そんな目で見るんだ…』
「いっ、生きたままは食べませんよ!」
『誰かに殺させて喰うのも、自分で捕まえて喰うのも、同じことだよ。結局はな、命をいただいて生きてるんだ』
「猫のくせに哲学者みたいなこと言いますね…」
「哲学者より宗教家のほうが近くないか?」
佐々木さんから、訂正がはいる。
『うむ、猫だからな』
マスターの返答は、よく意味がわからなかった。なんとなく助けを求めて佐々木さんのほうを窺うと、
「猫、だからな…」
同じ回答しか得られなかった。
とりあえず、バッタの件は忘れることにして、僕とマスターと佐々木さんは、車に乗り込んだ。
僕が大学から戻ると、既に店の前でマスターと一緒に佐々木さんを待っていた。
「遅い!マスターがかなりご立腹だぞ!」
「すっ、すみませんっ!講義が長引きましてっ…って、マスター?」
マスターは捕まえたのであろうバッタをいじって遊んでいた。あまりご立腹な様子には見えない。
「マスター、何やってるんですかぁ。」
佐々木さん呆れた顔でマスターを呼ぶ。
『あっ、すまん。つい…』
もぐもぐもぐもぐ…
バッタを食べながらマスターがこちらを見つめる。
…なんまんだぶなんまんだぶ。
一寸の虫にも五分の魂。僕は、そっと手を合わせ、喰われたバッタの冥福を祈っておいた。
『お前だって、さんざん、牛とか豚とか食べてるくせに、なんで私がバッタ食べたぐらいのことで、そんな目で見るんだ…』
「いっ、生きたままは食べませんよ!」
『誰かに殺させて喰うのも、自分で捕まえて喰うのも、同じことだよ。結局はな、命をいただいて生きてるんだ』
「猫のくせに哲学者みたいなこと言いますね…」
「哲学者より宗教家のほうが近くないか?」
佐々木さんから、訂正がはいる。
『うむ、猫だからな』
マスターの返答は、よく意味がわからなかった。なんとなく助けを求めて佐々木さんのほうを窺うと、
「猫、だからな…」
同じ回答しか得られなかった。
とりあえず、バッタの件は忘れることにして、僕とマスターと佐々木さんは、車に乗り込んだ。