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喫茶くろねこ

第10章 佐々木邸訪問

店に戻ると、店内から、カレーの美味しそうな匂いが漂っていた。

「ただいま戻りましたー、って、えぇっと…カレー?」

「あっ、佐々木さん!ユータ!2人とも、おっそーいデスよ。ユータ、今日、僕作ったから、明日と代わる、OK?」

「あっ、もしかして、当番代わってくれたの?」

「だって、ユータ遅い、待てません。マスターが『いつ戻る分からない』言いました」

「おぅ、ニコルス。悪かったな。俺が引き留めてたんだ。さぁて、飯だ、飯!おし、食うぞ。下地、お前もさっさと食え!」

いつの間に用意したのか、カレーの入った皿を手に持った佐々木さんが席に着く。

僕も、食べよう。
ニコルスの作ったカレーは、美味しかった。こいつ、菓子作りだけじゃなくて料理も才能あんのか。すげぇなぁ。いいなぁ、才能あるやつは。羨ましい…。

『ニコルスはな、カレーが好きなんだ。好きだからよく作る、よく作るからだんだん上達する。それだけのことだよ。好き、っていうのが一番の才能なんだ』

んん?マスター??

『お前にだって、好きなことやものぐらいあるだろう。それはつまり、お前の才能の元、だよ』

なんですか?突然…。

『いや、お前がニコルスの才能に嫉妬しているみたいだったからな。いつものネガティブシンキングが出てるな、と思ってな。才能なんて、みんなそんなに大差ないのさ』

僕、そんなにネガティブなつもりないんですが…。

『無自覚なのだとしたら、尚悪い』





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