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喫茶くろねこ

第10章 佐々木邸訪問

なんか最近、マスター、ちょっと説教くさいですよ。

『そうか?私は、ただ思ったこと、感じたことを話してるだけだ。というかな、そうだな、お前、勿体ないんだ』

勿体ない?

『勿体ないさ。可能性も才能も、すごくたくさんあるのに。自分が一番それを認めてない。見ていて、もどかしい。なんでそんなに自分に自信が無いんだ?それが不思議でしょうがない。佐々木もお前のそういうところに気付いていると思うぞ。今日、私が帰った後に何か言われたか?』

いや~…なんか、面白いもの見せてもらって、一緒に笑ってただけっすね。

『ふむ。あいつなりの励まし方かな…。それだけか?』

ん~…。たぶん。

『まぁ、いいか。佐々木も私も、お前の事を心配してるんだ。もっと、自信を持つんだ』

「しのやすも、俺も、昔は落ちこぼれ学生だった」

カレーを食べ終わった佐々木さんが、突然話し始めた。

「でも、そんな俺をヒロさんが救ってくれた。しのやすは、教授に助けてもらった」

「ヒロさんて…」

「喫茶くろねこの、先代のマスターだよ。マスターから話を聞いたことぐらいあるだろ?」

「あぁ、はい」

「お前なら、大丈夫だ」

「何を根拠に…」

「俺自身と、あとは、しのやすが根拠かな。落ちこぼれでもバカでも、諦めずに生きてりゃ、世の中大抵のことはなんとかなるもんだ」

「それにユータは、若いです。まだまだ人生これからで~す」

「ニコルス、俺から見ればお前も十分若い」

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