*カレイドスコープ*
第1章 *拒む君の手を握る*
今までのことなど幾分どうてもいいんだ。これからのことなら尚更…………。大事なのは僕が君を好きだということで。
僕が強く握った手を振り払えずにいる君は、気付いていないだけで、まだ僕が好きだということで。
急いでいる筈の君の歩幅が僕のと比べるととても小さくて、会わせて歩く僕の歩幅も小さくなる。
いつもなら、僕の歩幅に会わせて小走りになっている君も可愛い。そう思う僕だけれど、こんな風にぎこちない歩き方になってしまうのが、何だか凄く心地よかった。
目の縁を赤くして、口を一文字につぐんで。僕のことを無視している君。そんな風に怒っている君は凄く可愛くて、このまま――――――…。