*カレイドスコープ*
第1章 *拒む君の手を握る*
赤い空車が光るをタクシーが、僕たちの側を通り過ぎる度に目で追う君に僕は気づいていないとでも思っているの?
タクシーが通り過ぎるその度に、僕を拒むようにする君に、僕はお仕置きだとばかりに、無理矢理なキスをする。
タクシーからは、嫌がる君は見えてはいないだろう。
路上でキスしているカップルにしか見えてはいない筈だった。
「……っ!」
「離して!」
君が僕の唇を噛んだから、鉄臭い血の味が僕の口腔内に広がる。
君の唇にも少しついているから、君の口の中にも僕の血の味がしている筈だ。
僕の血が君の躯の中に入り、その甘い唾液と混ざって君の喉を潤す―――そのことに凄く興奮してしまう僕がいるのだ。