委員長はエッチでした
第6章 天使の笑顔
「だから、その顔がっ、からかいたくなるんじゃないっ」
「えぇっ、そんな……っ」
くっそぉ
可愛いな〜
思わず抱きつきたくなって
あたしが黒崎に
にじり寄った
その瞬間に
担任の先生が現れた。
「なんだ〜お前ら、入り口で堂々といちゃつくな〜?
青春か〜?
早く席につけ〜?」
教室のみんなが
ざわめき
冷やかされ
笑われてる中で
啓介がするりと
通りすぎた。
あれっ?
今
トイレから
戻ったんだ?
長いよね?
うんちかしら?
そう思って
見つめる
あたしの視線に
気付いて
仏頂面をして
目を反らされた。
あれ〜?
嫌な予感がした。
あたしは
何かまた
とんでもないことを
してしまったのかもしれない。
そんな
もやっとした
予感の中で
授業がはじまる。
席について
教科書と
ノートを開く。
授業に集中しなきゃと
思うのに
頭の中が
ごちゃごちゃしている。
窓が少し開いてるのか
軟らかい風が
あたしの髪を揺らす
心地よい風に
任せて
窓の外の
木の葉がさわさわ揺れた。
グラウンドでは
体育の授業
男子と女子に別れて
準備体操をしている。
グラウンドからの
遠い声
先生の笛の音
ぼんやりと
横目で眺めながら
ふと校門の前で
人影を見つける。
………ドクンッ
心臓が早鐘を打つ。
すうっと
青ざめてしまう。
そんな筈はない。
あの人は
今頃
会社で
何事もなかったように
いつもの
余裕な顔で
日常に戻っている筈だ。
こんな遠い距離で
分かる筈もない。
こちらをじっと
見つめている人物。
………結城さんが
こんな場所に
来る筈もない。
じっと見られているような
気がして
焦ってしまう。
きっと
違う人だよ。
気付く筈もない。
その視線に
耐えきれずに
顔を背けた。
「彩香……?」
斜め前の席に
座っていた
啓介が
あたしに小声で
声をかけた。
あたしは黙って首を振って
教科書に視線を落とす。
啓介が窓の外を
見て
席を立とうとした
その瞬間
その人は
すっと
その場を離れた。
息をついて
座り直す
啓介。
窓際の席の
黒崎の顔を
まともに見れなくなった。