委員長はエッチでした
第7章 ストーカー
お母さんは
いつ見ても
綺麗だ。
ピシリとした
スーツを
颯爽と着こなして
長い色素の薄い髪を
後ろで纏めている
バレッタで留めた
夜会巻きが
まず
目に入った。
「彩香……、
お母さんを許して……」
部屋に入った
その瞬間に
あたしに向かって
頭を下げる。
びっくりして
立ち尽くしてしまう。
「まず、あの男を……結城を家に招き入れた、
あたしを許して欲しい、
結城から、全て聞いたのよ」
あたしは
ギクシャクした
固い動きで
畳みの上にある
ちゃぶ台の前に
ストンと座った。
「お母さんが謝る事はないよ、
……あの人が……」
悪いのは
あの人……?
『……お前が悪いんだよ、家族として過ごしたかったのに、お前が俺をおかしくさせたんだ』
幾度も言われた
結城さんの言葉を思いだした。
あたしの真正面に
座るお母さん
顔を上げて
じっと
見つめられる。
「結城はあたしに言ったのよ、
結婚しようと思ったのは、全て、彩香の為、
家族になりたかったって、
だけど、そのうちに、あんたを好きになって
しまった。
あたしに向かって、彩香を愛しているって、
堂々と言いやがった」
吐き捨てるように
呟いて
肩で息をついている。
あたしは……
何も言えない……。
俯いて
固まっているだけ。
「あの子の家は複雑だからね、家に呼んで、
一緒にご飯を食べて、家族と言うモノに、
憧れたんでしょ、
子供の時から、あんたと一緒に過ごさせたから……
可哀想だと思って、目をかけてあげたのに……!」
「……結城さんは、どうなったの?」
どうしてるんだろう?
まだ
あの家にいる訳じゃないだろう
実家にでも
帰ったんだろうと
思っていたけど。
「海外赴任の話があるって言ったでしょう?
あたしの代わりに、あいつに行けと命令を
下した、
二度と帰って来るなと、
それがダメなら、遠方に異動命令を下した、
あいつは、あっさり、会社に辞表を出したのよ?」
結城さんが
会社を辞めた……?
どうして
そんなこと
海外赴任なんて
いい話なのに?
むしろ
優しい待遇なのに?