委員長はエッチでした
第7章 ストーカー
今回ばかりは
あたしが悪い。
デブ翔が
怪我をしなかったら
あたし達が
来なかったら
この夫婦は
喧嘩なんて
きっと
しなかったと思うから。
だから
謝る
デブ翔も悪いけど。
そこは
ゆずれないから?
精一杯謝って
お互い
泣きそうになった。
今度からは
デブ翔と
もう少し
仲良く
なれるかも……
そう思ったのに
それ以後
デブ翔の姿を
見た人は
いなかった。
風の噂で
両親が離婚して
遠い場所に
引っ越したと
後から
聞いたんだった。
あの日が最後で
なんだか後味が
悪くて気になっていた。
「それにしてもさぁ、
意外だったよね、まさか、あんたが、
あの亮ちゃんと、付き合ってるなんてね?
いつも、率先して、苛めてた癖に、
最初はなんの苛めなのかと思ったよ?
しかも、キスしたり、
まじでキモいんだけど?」
……やっぱりデブ翔だ。
いくら見た目が
無害そうな
天使に見えても
中身は毒……。
性格は相変わらず
悪いままだよ。
「あんただって、あたしの事、好きになりかけ
てたとか……キモい事言ってたじゃん?」
「……ああ、それはね、本当なんだよ?」
にこにこの笑い顔を張り付けて
いけしゃあしゃあと
言ってるけど。
「絶対ウソでしょ?
新手の嫌がらせ?
なに考えてんの?」
「やだなぁ、彩香ちゃんを、好きに
なったのは、本当だってば?」
「そんなの有り得ない、あたしとキスするとか、
考えられない、キモいとか言うんでしょ?」
一瞬間があって
翔矢が
あたしの顔を
じっと見つめた。
「……やっぱりオトコオンナだ、キモい」
「なによもうっ、失礼ねっ!」
さっきつねられた
お返しとばかりに
背中をバンバン叩いた。
笑いながら
翔矢が
あたしの手を防いだ。
「そう言えば、さっきのストーカー、
あんたが昔、お兄ちゃんて言ってた
奴じゃなかった?」
ふと思い出したように
翔矢が呟く。
「そ……うだね……っ」
翔矢は保育園も
一緒だったらしいし。