委員長はエッチでした
第7章 ストーカー
あんまり
覚えてないけど
近所の公園でも
いつもいたから
そりゃ
結城さんとも
会ってる筈。
知ってて
当然なのに
あの時代の
優しい時間を
思い出して
胸が
苦しくなる。
「彩香ちゃん……?」
あたしの顔を
覗き込む翔矢
目を細めて
にこにこ笑ったままで
「何を真面目な顔してんの、
超キモいんだけど?」
鼻を摘ままれた
しかも
結構な力で
「もうっ、暴力反対っ!」
痛む鼻を押さえて
翔矢の背中を
ぽかぽか叩いた。
結城さんに
出会ってしまった恐怖は
いつの間にか
軽いモノに
変わっていた。
お母さんからの
ラインの効果音がして
『黒崎くんをそっちに向かわせたから!』
文章を読んで
息を飲んだ。
「黒崎が……!」
どうしよう
気まずいよ〜?
だって
昨日の今日だし
心の準備が……!
公園のベンチから
立ち上がって
意味なく
おろおろして
「あれ〜、亮くん?」
翔矢の言葉に
ギクリとする。
「あれっ、翔矢さん……バイトは?」
背中の方で
黒崎の相変わらずのいい声がして
あたしの背中が
熱くなる。
振り向くのが
恐い。
「うん、バイトはクビになっちゃってね?
そこの、誰かさんのせいで?」
「何かあったの?
彩香さん……?」
黒崎の声は
ほんの少し
息切れしていた。
走って
来てくれたんだ。
嬉しい……!
「彩香ちゃんが、変な男に掴まってたから、
コンビニのバイトに入ったとこを、
すぐに俺が取り押さえてね?
店長に警察を呼ぶように、言ったのに、
どうしてだか、クビになったんだよね?」
笑いながら
黒崎に説明してあげてる。
まあ
合ってるんだけどね?
その通りっちゃそうなんだけどね?
あれは
翔矢のブラックな
本質がでてしまって
やや乱暴に
結城さんを撃退して
店長さんに
ドスのきいた声で
命令したから……
だと思うな?
「彩香さん……っ!」
あたしの座ってる
ベンチの目の前に
黒崎が来て
ふいに
両手を握りしめられた。
ズキッと痛む両手に
顔をしかめた。