委員長はエッチでした
第8章 復讐するには
体温が急に上がり
体が震えて
身動き出来ない。
見てはダメ
こんなの
見てはダメ。
夫婦になるんだから
こんなの
当然な営みで。
結城さんと
ふと
視線が合う。
ギラリとした瞳で
うっとりとした
表情
視線を反らさないまま
腰を激しく揺らす。
『……愛してるよ……っ』
視線は反らさないまま
愛の言葉を呟き
腰を揺らす。
あたしは
弾かれたように
その場を離れた。
その日の夜は
眠れなくて
生まれてはじめて
一人エッチをしたんだ。
翌朝
二人の姿を
見たくなくて
部活の朝練を理由に
朝早くに
仕度をして
家を出ようとした。
玄関先で
結城さんに
呼び止められた。
『昨日はどうだった?
興味津々で見てたから、つい、
やり過ぎてしまったよ』
腕を掴まれて
耳元で甘く
囁かれた。
カァッとなって
頭に血が昇り
その手を激しく
振り払った。
『汚い手で触らないで……ッ!』
『……なんだって?』
剣呑な表情になる
結城さん
余裕の微笑みが
崩れていく
瞬間だった。
この瞬間から
あたしは
結城さんを
嫌いになっていく。
憧れていた
お兄ちゃんが
最低な男へと
変わった瞬間だった。
限界だった
それまで
溜まったストレスが
爆発して
結城さんの事が
大嫌いになった。
その日から
結城さんを
避けるようになる。
必要以上に
関わらない
なるべく
会話もしない。
お母さんがいる時は
当たり障りのない
会話だけに留めて。
この人は危険
それは
本能
あたしの頭の中で
警鐘が
鳴り響いていた。
ずっと
一緒に住んでいる限り
それは
ずっと
鳴り響いていたのに。
お母さんが出張に行く。
その話を聞いた瞬間
真っ先に
友達の家に
泊まりに行きたい
そう言ったのに
他でもない
結城さんに
反対されてしまって
言いくるめられた
お母さんも
絶対ダメだと
ダメ押しをされて
逃げ道は
閉ざされてしまった。