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委員長はエッチでした

第8章 復讐するには





思い切り警戒していた。

予感もあった。

本当に友達の家に
逃げていたのに
電話があって
呼び戻されてしまった。




どこにも
逃げ場所がない。



『どうして、こんなに、嫌われてしまった
のかな?
俺は彩香がずっと、好きなのにね?』



わざわざ友達の
自宅にまで
電話されて
きまづく帰宅した。



『近寄らないでっ!』



溜め息をついて
ゆっくり
あたしに近付く結城さん



その表情は
狩りを楽しむ
ハンターのようで

瞳はぎらぎら輝いて
楽しそうな
笑顔で近付く。



後退りして
逃げる。



『そういう態度を取られると、
余計に欲しくなるもんなんだけど、
分かってないね、彩香』



『何がっ、欲しいって言うのっ?』



後退りしながら
ゆっくり
自分の部屋に向かう。



部屋には鍵がない
分かっている。



じゃあ
トイレに逃げ込む?



バスルームの
中の扉?



それもすぐに開けられる。

トイレだって
コインで開けられる。



いっその事
やっぱり外に
警察にっ……?



『分かってるんだろ?
俺はずっと彩香が欲しくて、
ずっと、こんな、チャンスを待っていたんだ』



『どうしてよ?
お母さんがいるのにっ!』



結城さんの
表情が一瞬曇る。



『家族になりたかった、
早苗に憧れて、彩香と一緒に家族に
なりたかったんだ。
理想の家庭が築けると
思っていたのに』



結城さんの手が
あたしの両手を掴み
強い力で
引き寄せられた。



ギュッと抱きしめ
られる。



息が出来ない程の
強い力で
苦しい。



『一緒に暮らしてみて、
すぐに気付いた。
俺が一緒に居たいと思ったのは、
早苗じゃない。
彩香だったんだ』



苦しくて
結城さんの胸の中で
もがいて
暴れる。



『ずっと一緒に過ごして、
近すぎて気付かなかった、
俺はずっと、お前が好きだったんだよ、
彩香……
お願いだから、俺を受け入れて?
そうじゃないと……堪えられない』



堪えられない……
意味が分かんないっ



ずっと
堪えられないって
思っていたのは
あたし
生活を乱されて

嫌な思いを
させられたのは

あたしの方だよっ。

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