委員長はエッチでした
第9章 意味なんてない
黒崎 亮side
彩香さんを
傷付けてしまった。
本当は嬉しくて
……気持ち良くて
せっかく
決心したのに
また
欲しくなってしまった。
俺の欲望を
全て飲み干した
彩香さん
そんな事
されたのは
勿論
はじめての事で
慣れた手付き
きっと
あの人に
強要されてて
つらい仕打ちを
受けていたに
違いないのに
その事実を
まざまざと
見せつけられたようで
悲しかった。
どうしようも
ない事なのに
口を開くと
誰かを
嫌な気分にさせてしまう。
嬉しかったんだ。
誤解だと
ちゃんと
伝えようとして
彩香さんを
追いかけて
中庭で啓介くんとの
会話を聞いてしまった。
体育倉庫に
一緒に入って
重い扉が閉まり
鍵をかける
音がした。
やっぱり啓介くんは
やっぱり二人は
最初から
二人は
惹かれ…合って?
俺なんか
出る幕なんか
ないんじゃ……。
そう思うのに
彩香さんの顔を見たら
何も言えなくて
ただ
一緒に居たくて……。
アパートの前で
別れた時は
不安になった。
翔矢くんの家に?
本当に
翔矢さん?
……啓介くんに
会うんじゃ……。
隣の家が
翔矢くんの部屋
彩香さんが
入って行ったのは
分かった。
会話をしていたのも
時折
怒鳴るような
大きな
彩香さんの声。
会話の内容までは
分からなかった。
だけど
バタバタ
激しい音をたてながら
帰って行く
彩香さん。
一人にしちゃあダメだ。
すぐに気付いて
追いかけようとして
ドアを開けた。
そのタイミングで
翔矢くんの
部屋のドアが
開いた。
お互い目が合って
俺は
思わず
睨むように
見てしまった。
「彩香さんに、何を……!」
翔矢くんの
いつもの愛想笑いが
ふと消えた。
「俺も分かんない、ただ、良く分からない
力が働いて…?」
「何をしたんですかっ?」
「ごめんね、俺、やっぱりあいつの事、
好きだったみたい、
だから、追いかけるわ?」
靴を履いて
彩香さんを
追いかけようとする
翔矢くんを
引き止める。
「俺が行きますっ」
「やだなあ、亮くんは、ここで指くわえて
待ってたらいいよ〜」
「嫌です!」