
委員長はエッチでした
第10章 上書き
ピクンと
亮の首筋が震えて
あたしの
視界の端で
眼鏡の奥の瞳を
ぎゅっと閉じているのが見えた。
可愛い……。
キュンとなる
あたしの心臓
思い切ったように
亮が口を開いた。
「翔矢くんと……、
何かあったの……?」
あたしはさっきまでの
苛つきを思い出して
唇を尖らせた。
「あいつはやっぱり、昔から変わんない、
意地悪で腹黒よっ、学校に変な写真
貼った犯人もあいつなんだからっ」
亮はほっと息をついて
ゆっくり
微笑んだ。
「翔矢くんは、イタズラ好きだけど、
人一倍、寂しがりなんだよ……、
両親だって離婚して、
早いうちから一人暮らし、
してたみたいだし……、
最近は夜のバーでバイトしてるみたいだよ?」
「そうなんだ?」
そういえば
あたしのせいで
コンビニのバイトも
クビになったみたいだし。
寂しがりだなんて……
「そんな可愛いげのある奴じゃないでしょ?」
亮だって
子供の頃は
散々苛められた癖に
……あたしも苛めて
人の事言えないけどさ。
「翔矢くんは、いい人だよ?
俺が一人暮らし、はじめた時から、
何かと気にかけてくれて……、
俺が寂しくないように、ああやって、
来てくれるし……」
ただの邪魔モノじゃないの
お邪魔虫だよ。
じゃあ翔矢は
亮には
ちゃんと優しいって事?
あたしには
あんな
嫌がらせする癖に?
だけど亮にとっては
数少ない
友人なんだろうから
大事に思ってるんだろうな。
胸の中が
もやっとした。
なんだろう
ヤキモチ?
翔矢を庇う亮が
面白くないのかな?
それとも
あたしには
嫌がらせする翔矢が
亮には優しいのが
複雑な気分になるのかな?
「優しいし、大人だし、面白いのに、
格好よくて、喧嘩も強い……、
憧れていたんだ……」
「あいつのどこがっ?」
「だから……、
彩香さんが惹かれるのも、
……無理もないなって思って……」
「……はぁっ?」
ちょっと
待ったぁ?
今なんて言ったのっ?
亮ってばっ!
……いい加減にしてよっ
