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委員長はエッチでした

第10章 上書き





あたしが翔矢に
惹かれてるって
そんな訳
ないじゃない



カァっと頭に血が昇る

腹が立って

それと同時に
悲しかった。



「どうして分かんないの?
あたしはずっと、亮だけが好きなのに、
何度も言ったよ?
大好きって……」



目頭が熱くなる
亮の姿が
ぼやけて
どんな表情をしてるのか
分からない。



亮が息を飲む気配がした。



「彩香さん、
俺は……っ」



涙がぽろぽろと
零れる

分かってる

亮は自分に
自信がなくて
今までの経験で
人が信じられないんだ。



だけどあたしの事は
信じて欲しいのに。




「……して」



制服のブラウスの
ボタンを外しながら
呟いた。



「……しようよ、亮、
もっと亮を感じさせて?」



制服のブラウスの
ボタンを外し
ブラジャーを外して
ベンチの上に置いて

立ち上がって
スカートを持ち上げた。



外は暗くなってきていた。
公園の外灯の明かりが
あたしの肌を
微かに照らす。



悲しかった
無性に悲しくて……
頭の中が
ごちゃごちゃして

それでも
亮を求める。



何度も好きって言った
沢山伝えて
沢山キスをしたのに。



それでも
亮の心には
届いてなかったの?



信じては
貰えなかったの?



どうしたら
伝わるの?



「お願い…亮…」




他に愛情表現する
手段が
分からないから……。



沢山の愛の言葉を
並べても
伝わらないのなら




あたしの全てを
亮にあげるから
ちゃんと
受け止めて欲しいの



あたしにとって
一番簡単な
愛情表現だから……



誰もいない公園
少しの外灯の明かり
うっすらとした
星空の下



ただ青々とした
月が輝いて



月が見ていた……

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