
委員長はエッチでした
第10章 上書き
「自分で考えても分かんないから、
亮くんに教えて貰ってんだもん〜」
むうう〜
やっぱり馬鹿だから
あたしが
言いたい事が
分かんないの?
なおも身を乗り出そうとして
隣にいた
啓介の腕が
あたしを遮るように
サッと横切る
「亮は全部教え過ぎなんだよ、
分かるように、導くだけに留めたらって
事だろ?」
面倒そうに
漫画の本から
顔を上げて
あたしと目が合って
笑った
ほっと息をついて
頷くあたし
亮の眼鏡の奥に宿る瞳が
鋭く光ったような
気がした
翔矢が芽以の
教科書に目を落として
「こうなって、ああなって、
…で、こう考えてみたら…って事でしょ?」
芽以のノートに
ひょいと走り書きをした。
おお〜
なんとなく
みんなの声が上がるのに
芽以はまだ
頬を膨らます
「芽以は亮くんに教わりたいの〜」
あっ
だめだこりゃ……
新しいビールに
手をつけるあたし
呆れた様子の啓介
にこにこ笑って
首を傾げる翔矢も
また新しいビールを
飲みはじめる
「芽以ちゃんって、うざい〜」
笑いながら
翔矢が呟いて
芽以がき〜き〜声で
反論して
亮はおろおろしていた。
なんだかんだと
騒がしいけど
このメンバーで
集まるのは
居心地がいいと
思ってきている
それぞれの
思いは
別にあるんだろうけど
だってね
あたしと亮は
何となく
気付いたら
あれからエッチ
してないんだからっ
盛のついた
ワンコの癖して
信じられないよ……
昼休みとか
亮と二人きりの時間に
チャンスとばかりに
亮との距離を
縮めるのに
何故だか最近
邪魔が入る
屋上でも
中庭でも
啓介やクラスメイト達
だったりするけど
亮に友達が
増えるのは
良いことなんだけど
いったい
どういう事なのよ?
