委員長はエッチでした
第11章 友達との一線を越えて
啓介の家の
広いリビング
ふかふかのソファー
さっきまで
啓介のお父さんが
向かい側に座って
話をして
急患の対応で
お父さんは
出て行って
良く考えたら
啓介と二人きり
あたしの隣に
啓介は座って
何故だか
肩を寄せられて
頭を啓介の肩に
乗せてしまっている
別に何とも思ってなんかいない
あたしには
最初から
お父さんなんて
居ないもの
事故で亡くなったから
写真も何もない
そう聞かされて
ただ
どんな人なのか
知りたかっただけで
深い意味はない
啓介のお父さんを
困らせてしまって
それが
ただ
嫌なだけで……
暫く黙っていた啓介が
ふと
口を開く
「ごめんな?」
……どうして
謝るんだろう
視線を上げて
啓介の顔を見て
胸が苦しくなった
啓介は
今まで見た事がないような
悲しい表情をしていた
泣きそうな顔
……どうして?
「俺は恵まれてるんだな?
……誰かの犠牲の上で、何も気付かずに、
ただ、義理の父さんの存在を、
受け入れられずに逃げてた頃が、
馬鹿みてぇだったな」
あたしだって
結城さんと
お母さんが
再婚するって聞いた時は
大反対したし
「それは当たり前の反応だったんだと
思うよ?」
あたしだって……
結城さんは
お父さんには
なれなかった
最低な人だった
「ごめんな、彩香、
俺は……、
それでもお前が欲しいんだ」
意味が分からない
何の関係があって
そんなこと?
首を傾げて
啓介の顔をじっと見つめる
「ごめんな、彩香」
もう一度謝られて
悲しそうな瞳と
ぶつかって
その目を見ていたら
無性に
悲しくなった
何度か思った
啓介も義理の父さんと
一緒に暮らしているし
未婚だったお母さんに
育てられて
あたし達は
似ている……
そう思ったから
色々話ができた
啓介は何も言わないけど
話をするだけで
気持ちが
軽くなった
あたしは
一人じゃない
啓介だって
同じ悩みを抱えて
ただ傍にいてくれる……