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委員長はエッチでした

第13章 泣かせたかった





ベランダから
飛び降りたから
もちろん、鍵もないし
浴衣だけの格好で
下着も着けてなかったから……

亮はどうしてるだろう?



翔矢の部屋に
来たのだろうか?



翔矢と別れて
震える指で
部屋のインターホンを鳴らす。



すぐにドアが開いて
強引に引っ張られて

部屋の中に入り



……凍り付いた。




あたしを部屋の中から
引っ張ったのは
結城さん
だったから……。




ドアの内側に入り
襖を荒々しく開き

体を突き飛ばされた。



「……どうして……!?」



何であなたが
この部屋にいるの……!?



畳の上でバランスを崩して
転んでしまい

そこに同じように転ぶ
亮の姿を見て
悲鳴を上げた。



「……亮……!?」



ロープにぐるぐる巻きにされ
口にはタオルを噛ませられ
拘束されている姿。



目だけは鋭く
結城さんを睨みつけている。



「……っ、……!」



必死で体を動かそうともがき
何か言おうとしても
何も言えない状況。




「結城さん……!どうしてこんな事をするの……!?亮にまでこんな事をして、何を考えてるの……!?」



結城さんの腕を掴み
体を揺らす。



涼しい顔をした結城さんが
ふわりと微笑んだ。



「どうしてってそれは、分かってるんだろう?
彩香、君を手に入れる為だよ。こんな奴とは別れて、もう一度一緒に暮らそう、本当の家族に一緒になりたいだけじゃないか」



「……何を言ってるの?あたしはあなたなんかとは、一緒にならないっ、絶対にあなたとだけは、一緒に暮らしたくなんかないからっ!」



思い切り睨みつけて
結城さんを拒否する。


こんな事をして
お母さんが黙ってなんか
ない筈だ。



あたしのケータイは
鞄の中に入れたままで



鞄は結城さんの
背後にあり
距離が離れている。


もっと早く
お母さんに連絡していれば……
昨日の時点で
嫌、それよりももっと早く……?

一体いつから間違ってしまったの……?
お母さんからの
メールが最近ないのは
どうして……?

一瞬よぎる不吉な予感に
気付かない振りをして
走って鞄の側に行く。



結城さんは
そんなあたしの行動を
余裕で見て

ニヤリとおもむろに笑い
いきなり
亮の体を蹴り上げた。

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