委員長はエッチでした
第3章 家族とは
「出来れば……話して欲しい……
俺も……嫌だから……」
黒崎はそう言ってくれたけど。
話せる勇気は
まだ
ない。
嫌われるのが恐い?
でも
あんな
体中にキスマークを付けて
それを見られてしまって
もう
すでに
遅いような気がする。
一番見られたくない人に
見られてしまった。
黒崎は根っからの
委員長タイプ。
真っ直ぐな正義感で
言ってくれてるんだろうけど。
たまたま
あたしと
仲良くなって
たまたま
あんなことになって
あたしを
助けてあげようと
思ってくれてる
だけなんだろうけど。
遅刻ギリギリで
黒崎と二人で学校に行き
クラスメイトに
からかわれてしまった。
休み時間に
まみちゃんに冷やかされた。
「珍しいね?
二人で一緒に遅刻ギリギリとか、
マジでうけるんだけど?
そう言えば、朝、彩香のお母さんと
若いお父さん見かけたよ〜
相変わらず、イケメンだね〜」
何気ないまゆちゃんの言葉に
びくりと反応してしまう。
黒崎の席に視線を移せば
まともに
目があってしまった。
黒崎の眼鏡の奥が
きらりと鋭く輝く。
「お母さんも綺麗だよね〜?
その上若い旦那様とか憧れちゃうっ
何歳年下なんだろうね〜?」
「結城さんは26歳だよ?」
平静を装い答える。
「え〜?
あたしらと恋愛して欲しい〜
格好いいよね〜?」
啓介がつかつかと
あたしに近付いて
腕を掴まれた。
「彩香、ちょっと用事があるから、
借りてくぞ〜、先生が呼んでたから〜」
まみちゃんに手を振りながら言う。
黒崎の視線を感じながら
教室を後にした。
渡り廊下にある
自動販売機
人気が少ない
時間帯。
啓介がコーヒーを買って
「ん」
あたしに渡してくれた。
ベンチで二人で
缶コーヒーを飲む。
「……なんか、あっただろう?」
啓介は中学生の頃からの
クラスメイト。
家の事情もなんとなく
知っていた。
結城さんと
お母さんが結婚すると言って
大反対して
家を飛び出して
公園で泣いていた時に
啓介にばったり出会った。