委員長はエッチでした
第3章 家族とは
その時に
啓介に色んな話をした。
結城さんが
憧れの近所のお兄さんだった事
お母さんの事
あたしの
本当のお父さんは
誰だか
知らない事。
家の事から
愚痴まで全部しゃべって
すっきりして。
いつも明るくて
友達が多い啓介は
一言も喋らずに
黙って話を
聞いてくれた。
『……ああ、彩香……藤島か……
お前の本当のお父さん、案外近くにいるかもな』
小さく呟く啓介に
むきになって
文句を言った。
『そんな適当な慰めいらないからっ……』
『へいへい』
あの時も公園で
一緒に缶コーヒーを飲んだ。
『俺んちもな、母さん未婚の母で結婚して、
父さんは義理の父さん、
でも、俺が小さい時に結婚したから、
すっかり家族なんだけどな?』
『そっか……』
『隠し子が居るとかで揉めてたな〜』
笑いながら話をしているけど。
そう言えば
啓介は一時期
夜遊びが激しくて
髪も茶髪にして
チャラチャラしてたっけ?
美形だから
ほっといても
モテてるみたいだし
良く女の子と
一緒にいるところを見たし。
そういう事があって
グレてたんだな……。
それが
仲良くなる
切っ掛けのような
ものだった。
二人で黙ってコーヒーを飲んだ。
「……話さねぇの?」
「愚痴でも何でも」
ニカッと笑う啓介を見て
目頭が熱くなる。
「あたしね……、
黒崎の事が好きなの……」
コーヒーを飲みながら
俯く。
「……だろうな、
お前、眼鏡ばっかり、飽きずに見てたし、
結城さんとやらは、もう、諦めたのか?」
カシっ
啓介が缶コーヒーを開ける音
こくりと飲み込む音まで聞こえる。
「……結城さんは……
最低な人だよ……あたし……っ」
楽になりたい。
こんなこと
誰にも言えなくって
今まで
ずっと
我慢して……。
お母さんが
出張に行ってしまったら?
ううん
それどころか
本当に海外赴任なんて事に
なったら……。
そんな事耐えられない……
思い切って
啓介に
全てを打ち明けた。