委員長はエッチでした
第3章 家族とは
啓介side
ケータイの着信音が鳴り
画面を開く。
電話の相手は
父さんだった。
俺の義理の父だ。
「……父さん?
どうだった?
ちゃんとしたセキュリティのある、
アパート見つかったかよ?」
電話の向こうで話をする
父さんの話を聞きながら
彩香が黒崎の住む
アパートに入ったのを見届ける。
「……そうだよ、彩香だよ。
あいつ今、大変なんだ。
こういう時の為に、あんたがいるんだろ?
何とかしなきゃ、父親じゃねぇだろ?」
自動販売機で
缶コーヒーを買い
片手で取り出す。
焦ったような父さんの声。
「大丈夫だって、誰もいねぇよ?
とにかくすぐに、明日にでも住めるように
してあげてぇ、
それが無理なら、名乗りをあげて、彩香を家に引き取るか、
2つに1つだ」
缶コーヒーを持って
公園のベンチに座る。
ここで毎日ビールを
一人で飲んでいた彩香。
それをいつも
影で見守っていた父さん。
「そうだろうよ、なら、なんとかしろよ、
それとも、彩香の母さんに会って話をするか?
なんにせよ、
俺達だけじゃどうにもならない、
あんたの力を借りたいんだ」
缶コーヒーを片手で開けて
一口飲んでみる。
「……俺はもう少し、彩香の様子を見とくぞ、
お陰でストーカー呼ばわりされたんだけど?
あんたのほうが、よっぽどストーカーなのにな?」
笑いながらコーヒーを飲む。
「……父さんは来るなよ、
それよりも、司の勉強教えてやってくれよ、
俺には無理だから、
……はいはい、しっかりお兄ちゃん、やってるよ」
電話を切り
ケータイ電話を閉じた。
月が綺麗な夜だった。