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委員長はエッチでした

第3章 家族とは




啓介side



お父さんは初めから居なく
お母さんしか居ないのが
当たり前だったから

普通の家族がどんなもんか
分からなかった。



未婚の母。

俺の本当の父は
もと華族だかなんだかで
結婚するのは
猛反対されたとか。



慰謝料まで貰って
堕ろせと言われて
その
多すぎる
大金を持って
俺を産んで

一人で育ててくれた
母さん。



苦労したのは
幼ないながらも
なんとなく
分かっていたから

新しいお父さんが
できると言われて
純粋に喜んだ。



俺も幼い子供の頃だったから
良く分かってなかった。



優しくて
ハンサムなお父さん

休日にはキャッチボール
自分の子じゃないのに
優しくて
大事にされていると分かった。




綺麗な家に引っ越して
俺にも弟と妹が出来た。



絵に描いたような
理想の家族。



だけどそれが
俺が中学生になると
だんだん歯車が
噛み合わなくなっていく。



「藤島さんてクラスメイトに居るか?」



俺にそう聞いてた父さん
その頃は
同じクラスじゃなかったから
良く分からなかった。


授業参観日に
こっそり来ていた父さん
隣の教室を覗いて
涙ぐんでいた。



その視線の先には
藤島 彩香がいた。




真夜中の夫婦喧嘩
帰りが遅くなる父さん

近所の公園で見掛ける父さん
その視線の先には
決まって
藤島 彩香。



真夜中の夫婦喧嘩
聞こえてくる言葉。



子供がいたなんて
しかも
こんなに
近くに

可愛い女の子
隠し子
そんな話
聞いてなかった。




藤島 彩香が
父さんの隠し子?






コンビニに寄った帰り道
近くの公園で
父さんを見掛けた。



月の綺麗な夜だった。




視線の先には
藤島 彩香がいた。



一人でベンチに座っている。



またかよ
気持ちわりぃ……。



暫くして帰って行く父さん。



藤島 彩香
こいつのせいで……。



ベンチに座り
一人で月を見上げている白い横顔。


月の光に照らされて
綺麗な白い顔
黒い瞳が輝いて
涙が流れている事に気付いた。



あまりに静かに泣くから
分からなかった。

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