委員長はエッチでした
第4章 逃げない
黒崎side
彩香さんを
帰らせてしまった。
大丈夫なのか?
家に帰らせて
また……
酷い事をされるんじゃ……。
脳裏によぎる
彩香さんの白い胸元
鮮やかな
赤い花のような
キスマーク。
自分を守るように
抱きしめて
震える
小さな細い体。
追いかけて
どうするんだ?
俺はまた
彩香さんを恐がらせてしまうんじゃ……。
自分に吐き気がする。
女の子は苦手だ。
姉が二人いて
子供の頃から
からかわれて
苛められて
酷い事もされた。
『亮〜ご飯作って〜?』
『ワンピースのファスナー留めてよ〜』
『赤くなって、バカじゃないの〜?』
甲高い笑い声
香水の臭い
真っ赤な
ルージュ。
……彩香さんは
姉さんとは違う。
分かっているのに
昔からの癖で
怯えてしまうのに。
人一倍
興味を持つ自分もいる。
頭の中は
エッチな事で
いっぱいなんだ。
それが分かっているから
追いかける事に
躊躇ってしまう。
ドアノブに手を伸ばして
空中で手を止めて
固まっている。
どれくらい
そうしていたのだろうか?
暫くして
玄関のドアノブが
外側から開いた。
「……よお」
彩香さんの友達の
啓介くんだ。
仏頂面でじとっと
俺の顔を睨みながら
ドアを閉めた。
「俺と彩香の話を聞いてた癖に
……なんであいつを追いかけねぇの?」
話を聞いてた事が
バレていた……?
学校の
自動販売機の
あの場所で
こっそり二人の後を
気になって
追いかけた事が
バレていた……?
「……何で、分かって……」
視線をさ迷わせて
狼狽えてしまう。
「……あいつを家に帰らせて、
お前は何とも思わねぇのか?」
ハッとして
顔をあげた。
さっき
彩香さんに
言ってしまった。
俺は自分の気持ちが
分からない。
彩香さんに
気持ちをぶつけられても
俺は彩香さんを
好きなのか
分からないって。
言ってしまったのに。