委員長はエッチでした
第4章 逃げない
溜め息をつく
啓介くん。
「じゃあ、言い方を変えようか?
お前は何で、わざわざ俺達の話を
盗み聞きしに来たんだ?
何でいつも、彩香を見ている?」
……どうして?
彩香さんの様子が
気になって
心配で……
どうして啓介くんと
二人っきりで
話をしに
行くのか
気になって……。
彩香さんを見てたのは
いつも
目が合うから。
ずっと前から
いつも
目が合ってしまって
気になって……。
どうして気になるんだ?
彩香さんだけが
何処にいても
すぐに
分かってしまって
何気ない日常
毎日学校で
集中して本を読んでいても
あの綺麗な声が
気になって
顔を上げてしまう。
「……ったく、コミュ症だか、なんだか
知らねぇけど、お前見たらイライラ
するんだよ!
だけど仕方ねぇだろ、あいつがお前がいいって
言うんだからな!」
吐き捨てるように言って
背中を叩かれた。
フラりとしながら
靴を履いて
走り出す。
走り出すと
何故だか焦った
気持ちになって
俺は久しぶりに
全力疾走した。
「なんだよあいつ、早ぇじゃん」
背中に啓介くんの
声を聞きながら……。
彩香さんを
必死で追いかけた。
彩香さん
いったい
何処にいる?
まさか
また
公園に一人で?
そう思って
公園を探しても
公園には居ない。
まさか
もう
一人で家に帰ったのか?
まだ
いつものように
ビールを飲んでいない
お母さんが帰宅する時間を
いつも気にしていた
彩香さん
きっと
あの人と
二人っきりに
なりたくなくて……?
いつもより早く帰って
ひょっとしたらまた!?
いやな
予感がした。
お前は平気なのかって
啓介くんが
聞いていた。
……平気なんかじゃない。
俺以外の人間が
彩香さんに触れるなんて……!
あんな顔を
他の人にも
見せるのか……!?
そんなの……
耐えられない……!