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委員長はエッチでした

第4章 逃げない





この人は……
たぶん
まともじゃない。



いつも笑顔の優しい仮面を被る
悪魔なんだよ……
優しいふりして
あたし達に近付いて
平気で傷付ける
多分
無意識で……。



よがんだ人……。





藤堂 結城。
近所の優しいお兄さん。




結城さんのお母さんは
銀座の老舗の
高級クラブの経営者で
ママさん。

お父さんは
西麻布の
ホストクラブの
経営者。



派手で美形の二人は
それぞれが
夜の街の顔のような人物。


あたしのお母さんは
昼間は会社員で
夜はクラブで
時々
アルバイトをしていた。



今の会社でも
そのクラブで
接待で良く
使っているらしい。



必然的に結城さんは
ホストとして
アルバイトをしていた。


結城さんは次男で
長男と妹さんが
その後を次ぐようだ。



夜は常に家に誰も居ない両親。
お金だけは
不自由しない

あたしのお母さんが
夜のバイトに行く時は
当たり前のように
結城さんが
家に来て
当たり前のように
一緒に過ごした。



結城さんが居れば
寂しい事なんか
なかった。



家族のように
一緒に過ごした。



そんな
錯覚を覚える
優しい時間だった。



今の状態と
それは
少しだけ
似ていたのかも
知れない。



『お母さん、
学校のテスト、算数100点満点だよ〜?』



『……その調子で頑張りなさい。
時間がないから、結城、後はお願いね?』



会社から帰ったのに
また
すぐに
出かける
お母さん

派手な格好
派手なメイク



『……彩香ちゃん、
算数のテスト100点なんて、凄いね?
なかなか出来る事じゃないよ?』



お母さん
見てもくれなかった。


あたしの顔すら
見てもくれない。



『お母さんは忙しいんだよ。
明日はお休みだから、明日ゆっくり見て貰おう?』



きっと褒めてくれる。
ちゃんと見て貰えるよ。



結城さんは
昔から
嘘つきで
夜明け前に
お酒の臭いで
帰って来るお母さんは
休みの日は
寝てばかりで

あたしを見てなんて
もらえなかった。



100点なんて、
なかなか出来ないなんて
嘘つきだよ。


だって
先生が言ってたもの
優秀な生徒がいて
その人は
いつも何でも
100点とってたって
その人が

藤堂 結城だって……



聞いたもの……。

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