委員長はエッチでした
第4章 逃げない
「可愛いね、彩香……
大好きだよ?」
何度も聞いたセリフ。
嘘つきの言葉は
軽いから
あたしの心には
響かない。
「そんな嘘、信じられない、
あたしはもう、昔のあたしじゃない、
すきな人がいるもの」
結城さんの体を
精一杯押し退けて
二階の部屋に続く
階段を上がろうとする。
「……あいつのことかい?
あの純情そうな、少年のこと?
あんな、何も知らないようなやつ、
彩香には似合わないよ?」
馬鹿にするように
笑う結城さん。
それでも
あなたよりは
よっぽど
真摯で真っ直ぐで
素敵な人だよ。
あなたとは
比べようもない。
「それでもいいのっ、好きなんだからっ!」
「……俺のほうが、彩香を愛してるのに?」
あたしの腕を掴まれて
引き寄せられそうになる。
そうならないように
暴れて
力で叶わないって
分かっているのに
そうせずには
いられない。
「離してよっ!
結城さんなんか、大嫌いなんだからっ!」
大声を張り上げて
睨みつけた。
ハッとして
息を飲む結城さんの
いつも余裕の微笑みが
サッと陰る。
「どうして?
俺が早苗と結婚しようとしたから?
……だけど、それは、全てが彩香の為なんだよ、
お前の傍にいたかったから、家族になろうとしたのに?」
「……意味が……
分からない……っ!」
頭の中が
一瞬真っ白になった。
あたしの為に
家族に?
傍にいたかったから?
今までだって
ずっと
家族みたいに
過ごして来たのに?
「彩香……?
お前が嫌なら、早苗とはちゃんと別れるよ?
だから……俺と一緒に結婚しよう……」
「……っ!」
この人は
ここまで
頭がおかしいの?
「……そんなの、嫌に決まってる……!」
「そんな、我が儘、許さない……、
彩香……、俺の子供を産んだらいい、
だったら、お前は俺を、拒まない」
結城さんの腕が
あたしのブラウスの
ボタンを素早く外す。
悲鳴を上げて
その腕から
逃れようとして
青ざめて
震えてしまう。
「ちょうどいいタイミングで、早苗は明日から、
出張だ。
すぐに子供が出来るように、お前の中に沢山
出してあげるよ?」